2012年06月
第51回日本白内障学会総会に参加してきました。
6月15日(金)~17日(日)にかけて、
東京国際フォーラムにて開催されました。
学会で学んだことを少し報告しましょう。
一つは、眼内炎対策です。
眼内炎対策は、どこの医院でも、力を入れて取り組んでいる事項です。
当院でも、学会や研修会がある度に、検討を重ねてきました。
今回、新しい報告を聞くことができました。
術中の術野洗浄にポピドンヨードを使うということです。
実際には、10%ポピドンヨード液を40倍に希釈して0.25%にし、
それを用いて術中に眼表面を繰り返し還流するという方法です。
有効性と同時に、安全性も確認された、非常に優れた方法です。
当院では、現在、PA ヨードを8倍希釈して、眼消毒を行っています。
また、上記と同様の方法を導入しておりました。
今回の報告を検証し、当院での方法を再度見直していこうと思います。
もう一つは、加齢黄班変性症についてです。
≪加齢黄班変性とは? ≫
加齢黄斑変性症は目の中の黄斑と言われる部分に
主に老化や光によるストレスが原因で起こる異常です。
症状としては、見えづらさ、視野の中央が暗く見える、モノがゆがんで見える
などが挙げられます。
急速な高齢化や生活様式の変化などのために、加齢黄斑変性症は増加しています。
米国などでは糖尿病網膜症を抜き中途失明原因の1位になっています。
加齢黄斑変性症を予防するための第一歩は、強い光を避けることです。
強い光を遮るためには外出時には帽子をかぶり、
青色光など短い波長の光をカットする遮光レンズを用いたサングラスを
かけることがオススメです。
白内障手術を行うと、眼底への光の透過が改善する為、
加齢黄斑変性の発症が高まります。
したがって、ハイリスク群である加齢黄斑変性の前駆病変である
大型ドルーゼンや網膜色素上皮の異常を認める症例や
加齢黄斑変性を既に片眼に発症している症例では、
白内障手術時期には十分に注意を払い、
禁煙、抗酸化サプリメント常用、
サングラス着用(遮光レンズ)などの指導、
手術時には着色眼内レンズの選択、術後の定期的な眼底検査
などが重要になります。
当院でも、以前より、遮光レンズをお勧めしておりましたが、
今回改めて、その必要性を強く感じました。
《遮光レンズとは・・・?》
遮光眼鏡はまぶしさの要因となる
500nm(ナノメートル)以下の短波長光(紫外線+青色光線)を
効果的にカットし、
それ以外の光を出来るだけ多く通すよう作られた
特殊カラーフィルターレンズです。
白内障初期、白内障術後、網膜色素変性症、
加齢黄斑変性、緑内障による視野狭窄、
その他視神経疾患などまぶしさにより見えにくさを感じる方に特に有効です。
また健常者の方であっても屋外でまぶしさを感じる場合、
遮光眼鏡を使用すると防眩効果によりコントラストが上がり見やすくなります。
カラーによっては夜間運転時での対向車の光等によるまぶしさを
和らげることができます。
この時、レンズの色は用途に合わせて選ばれると良いと思います
当院では、ドクターチェック眼鏡を推奨しています。
今の目の状態に合わせて、より生活しやすい眼鏡を・・・。
お気軽にご相談下さい。
休みの間、ご迷惑をおかけしましました。
今回得たことを、日々の診療に生かしていきます。
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