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 第36回日本眼科手術学会総会

1月25日(金)~1月27日(日)にかけて、
福岡サンパレス、福岡国際会議場、マリンメッセ福岡で行われた
第36回 日本眼科手術学会総会」に参加してきました。
     
学会1 バンザイ
今回の学会には、
日本を代表する白内障、角膜および網膜硝子体の
それぞれの分野の先生

ならびに、海外の一流の先生がこらました。
長年に渡り、各分野において携わってこられたからこそ
培われた技術の数々をお聞きすることができました。
また、昨年、話題になったiPS細胞を用いた治療に関する
お話もあり、 早朝から夕方まで、
眼科手術に関する最新の専門知識を高めることができました。
皆さん、眼科領域において、
  IPS細胞がどのように期待されているかご存知ですか?
  
現在、眼科において、ips細胞を用いた網膜再生手術が注目されています。
特に、現在失明原因第3位に位置する網膜色素変性症に対する
適用の実現に向けて
、日々研究が重ねられています。
             
グラフ
網膜色素変性症とは、遺伝性の疾患で、
夜盲や視野狭窄を生じる病気です。
今のところ、確率した治療法はなく、症状の進行を遅らせる
対症療法しかありません
以前に、網膜色素上皮(RPE)移植が行われたことがありましたが、
拒絶反応、正着不良、重篤な合併症など様々なデメリットが生じ、
実用化には至りませんでした。
そこで期待されるのが『IPS』細胞です。
IPS細胞を用いるメリットとして・・・
倫理的問題の回避
(胎児・あるいは他人の細胞を用いてなくて良い)
免疫学的問題の回避
(自己の細胞を用いるので拒絶がない)
手術侵襲が少ない
(細胞は表皮の採取だけで良い)
実用化になるには、
①非臨床実験
②臨床研究
③治験
といった段階を経ていかなければなりません。
現在①→②の段階まで進んできているようです。
現在日本には、網膜色素変性症の患者さんは、
数千人に一人と言われています。
患者さんのためにも、一日でも早く実用化されることを願いつつ、
今後の日本の医療の発展に期待したいと思います
次に、白内障手術について学んできたことを報告しますね。
学会で必ず講演されるのが、「眼内炎予防」についてです。
それは、完全な予防は不可能だからです。
予防策については、多くのエビデンスがあり、
現在、当院で取り組んでいる事項を裏付けする内容の報告でした。
【眼内炎】
日本における眼内炎の発症頻度は、
およそ2000件に1件と言われています。
発症すると、後遺症(重篤な視機能障害)を残してしまいます。
見えない敵(細菌)との戦いのため、
いかに予防するかが重要です。

術前滅菌法

 眼表面・涙道の感染性眼疾患の治療
 抗菌点眼薬の予防投与
≪抗菌薬≫
  術前3日前の点眼がもっとも有効と言われていますが、
  抗菌薬の予防投与を行っても、
  CNSやアクネ菌の除菌は困難 と言われています。
当院では、術前に眼脂培養を行い、
結果に応じて抗菌薬を選択しています。
また、眼軟膏も使用し、
マイボーム線に潜む菌へも対処しています。
  
    
 消毒薬による術前の消毒 
 
 術前消毒には多くのエビデンスがあり、
 世界的に広く行われている方法です。
 消毒液には、
 ポピドンヨード(イソジン)とポリビニルアルコールヨウ素(PAヨード)がありま  す。
  PA.jpg
 当院では、イソジンとPAヨードを部位によって使い分け、
 確実・丁寧な消毒に努めています。
 消毒薬も細菌により汚染されます。
(希釈液の作り置きをしないよう注意しましょう)

   確実なドレーピング 

その他、灌流液の中に抗生剤を混注したり、
手術直後の点眼、抗生剤の点滴・内服なども取り組んでいます。
感染症の発症が限りなくゼロになるように、今後も努めていきます
                   
うさぎナース
【眼内レンズ】
白内障手術では、瞳の中の濁りを取ったあとに、人工のレンズを入れます。
以前は、眼内レンズといえば単焦点レンズのみでしたが、
近年では、それに付加価値を有する
多焦点レンズやトーリック眼内レンズが出ています。
             
トーリック
同じ手術をしても、入れる眼内レンズによって
見え方や満足感が異なります。
現在求められているのは、
良い矯正視力ではなく、良い裸眼視力です。
当院でも、患者さんの希望に応じて、
眼内レンズを選択しています。
付加価値眼内レンズは、
すべての方に適応となるレンズではありませんが、
白内障手術を考える際には、一度ご相談いただけたらと思います。
                                 
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その他、糖尿病性黄斑浮腫や加齢黄斑変性症など
についても学んできました。
院内に掲示していますので、ご覧ください。
          
ぶた
最後に学会への参加のため、
休診させていただき、
ご迷惑をおかけいたしました。
                 
くまお辞儀 
学会で学んだ知識を今後の医療に役立てていきたいと思います。

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